かめさんと一緒に海外から帰国

現在海外でペットとして亀さんを飼育しておられる方で、将来愛亀ちゃんと一緒に日本に帰国したいと考えて
おられる方はきっと大勢いらっしゃるのではないでしょうか。しかし、連れて帰っても大丈夫なの? 検疫のための
手続きが面倒なのでは?・・・と、不安や心配も多いと思います。
このたび、アメリカ人の亀仲間さんがお仕事のため日本へ来ることになり、可愛がっているクサガメさんをお家に
残したまま来るのが寂しい、とのことで亀さんを連れて来日するためのお手伝いをさせていただくことになり
亀さんを日本に入国させるにはどのようにすればよいのかについて検疫所や税関に問い合わせてみる機会に
恵まれましたので、そのとき得た情報が、海外で暮らす多くの亀仲間さん達のお役に立てばと、この項目を
設けました。

検疫について
すごく意外に感じましたが、検疫に関してカメは対象外となっているんだそうです。そのため出発国発行の
衛生証明書の提出など、検疫に関する様々な手続きは幸い特に必要はないとのことでした。
厚生労働省で平成17年9月1日から、実施されている、輸入動物を原因とする人の感染症の発生を防ぐための
「 動物の輸入届出制度」にも亀は該当していないようです。

亀が入国するには
その亀がワシントン条約に引っかかっておらず輸入が可能な種類である必要があります。
こちらは税関で取扱っている問題ですので、帰国が決まったら前もってみなさんの亀さんが日本へ
持ち込める種類であるのかどうかを税関でご確認になってみてください。
アカミミやクサガメは輸入可能な種類です。

これらの情報は2008年現在のものですので、必ず最新の情報をチェックして念のため検疫所と
税関に”どこの国から、どんな種類のカメを連れて帰りたいのか”をはっきりと伝えて確認しておかれることを
お勧めします。

☆ 検疫に関しては
農林水産省・動物検疫所(動植物の検疫を管轄している検疫所です。)
厚生労働省・検疫所(人体、食品の検疫を管轄している検疫所です。)

☆ 日本に持込みができる種類であるかどうかの確認は
成田空港税関支署(相談官):TEL 0476-34-2128 の他、各税関にお問い合せください。

さらに、海外から日本にカメを連れてくるためには
航空会社がカメの機内持ち込みを許してくれ、輸送してもらえることが必要です。

カメを機内に持ち込めるかどうかなど、輸送については航空会社によって対応がまちまちですので、航空会社の方へ
お問い合わせください。
全日空の国際線には ペット連れで旅をする人のためのサービスがあり、今回友人はこのサービスを利用して
無事、大切なカメさんを日本に連れてくることができました。当初友人はアメリカの航空会社をいくつか当たって
みたようなのですが、どこも爬虫類の持ち込みにはかなり厳しかったようです。

彼女から、今後カメさんを連れて日本へ入国したいと思っておられる皆様へ
「亀を搭乗させる前に獣医さん行って健康チェックをしてもらっておくとよいですよ。」とアドバイスいただきました。
獣医さんで健康診断書を書いてもらって持っておくと、持ち込み可能な種類のカメさんであるかどうかを
証明する書類としても役立ちますので、もし現地に亀さんに詳しい動物病院があれば、出発前に健康診断を
受けておかれるとよいと思います。

 成田空港に到着したカメさんのフライト用キャリーケース には
 ご覧の通りとても目立つ「LIVE ANIMALS」というラベルが。 
 ただ、ペットとはいってもやはり主に犬や猫のこと を想定した
 サービスですので、「カメは初めてです。」 と、かなり驚かれた
 そうです。
 ちなみに、全日空には国内線にも「ペットらくのりサービス
 という同様のサービスがありますが、亀の場合、国内線では
 チケットを購入する際に連絡しておけば、容器に入れて
 客室に連れて乗ることができます。

            皆様のご帰国体験談     (2008年12月9日掲載)
halさま&政宗君(ミシシッピアカミミガメ)の体験談<2008年7月中国よりご帰国>
 
         こちらがミシシッピアカミミガメの政宗君。
中国出身の元気いっぱい、やんちゃな男の子です。

”日本にお引越しする、ってママから聞いた時には
正直ビックリ! 戸惑ちゃったんだけれど
日本はお水もご飯も美味しくていい所だね。”

中国での帰国準備:
ANAのペットサービスを利用しての帰国が決まったものの、ミシシッピアカミミガメであることの種類証明書が
必要とのこと。その種類証明書を発行してもらうため、中国でさまざまな公的機関、検疫所を訪ねましたが、
部署をたらいまわしされるだけで、挙句の果て「そんな書類はなく必要もありません。手で持って
行くなりカバンに入れて行くなりお好きにどうぞ。でも日本側のことは知りませんよ。」という感じで、
中国側では何もできないことが判明しました。
中国では動物病院でも亀の種類まできちんと判別し対応してくれる所を探すのは難しそうでしたので、
種類証明書代わりとして日本の水族館のHPからアカミミガメについて詳しく載っているページをプリント
して持参し、必要な場合にはこれを税関で見せることにいたしました。


 政宗君専用の移動用ケースはこんな感じ。
 別名”政宗様専用の御用車両”です。
 ケースにはこんなにオシャレなhalママさん手編みの
 バッグ付き。快適なフライトタイムが過ごせるよう
 ケースの蓋には空気穴も2箇所開いています。
 

帰国当日:
中国の空港のANAのオフィスでは、まず書類を記入した後、ペット輸送費として現金にて200元を
お支払い。そして、その書類を持ってチェックインカウンターにてチェックインしました。
政宗の入ったケースもそこで厳重に梱包(?)され、スーツケースとともに日本までお別れです。
日本到着後は荷物が回り始めてだいぶたった頃に、係員の方がターンテーブルの横まで政宗の入った
ケースを持ってきてくれました。その後、まず検疫所のカウンターに行きましたが、係りの方はミドリガメだと
聞いて、それならば検疫は必要ないので直接税関に行ってください、とのこと。税関のカウンターでは
「申告するものは無いですか?」とお決まりの質問をされましたので、「検疫はいらない種類ですが、
ミドリガメがいます。」と答えると、係りの方はちょっとあわてた様子で詳しい方を探しに行ってしまいました。
暫くして詳しい人らしき方が来て、政宗を手に持ったりして確認してくれました。
やはりミドリガメを持ち込む人は珍しいですよね〜なんて話をしつつ、特に問題はなく無事通過
することができました。周りに他の職員の人たちも集まってきて、物珍しそ〜うに眺められてしまい
ました(笑)。その後ゲートを出て、すぐトイレに向かい、初の日本の水をケースに入れてあげました。
結局、帰国前に散々心配した書類は一切必要なく、気が抜けるくらい簡単な入国でした。

halさまからのご感想&アドバイス:
中国では滞在都市の検疫所に行っても書類は何も作ってくれませんので行くだけ無駄です。日本への
ミドリガメの持ち込みには特に何の書類も要りません。予約の際、ANAの係員に事情を説明するだけで
OKです。
中国ではミドリガメも食用にするらしいので、連れて帰るのは無理だからと安易に川などに捨ててしまうと
食べられてしまうかもしれませんよ。

 ※ halさまのブログ(「曖昧な場所」)には政宗君ご帰国までの様子が綴られています。

多くの種類のカメさんが現在これほどにも簡単に、日本に入国することができるのは、現在は幸いワシントン条約
以外にカメさんの入国を規制するものがないおかげです。将来何かの理由でカメさんの輸入が難しくなってしまう
ようなことにならないように、飼育者としてもできる限りのことを心がけ、マナーを守りながら正しく飼育して
いきたいものですね。

現在、世界の各地でカメさんと一緒に暮らしておられる方が、将来愛亀ちゃんを連れて安全&無事にご帰国する
ことができ、大切な家族の一員として日本で幸せに末長〜く一緒に暮らしてゆくことができますように!
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