くもすけ闘病記(急性胃潰瘍) 8月、お盆休みが終わった頃のことでした。いつも元気で人懐っこいくもすけの様子がなんとなくい つもと違います。警戒心がものすごく強くなっている様子で、私にも全く懐いて来ません。餌を与えると、 興味を示して食いついてくるもののモゴモゴしてペ〜ッ!と吐き出すだけ。秋の発情期が始まるこの時期に 餌を食べなくなるのは例年のことで、早い時にはお盆ごろ、遅くても9月上旬には食欲が落ちてくるのは くもすけにとってごく普通のことではあるのですが、発情期特有のあの大暴れがなく、動きが鈍く、 表情が神妙なのが何か変だと感じました。ウイルスか何かに感染しているのかもしれない、そう思ったので、 とにかく免疫力を上げるため安静にさせなければとこの日から水場を段ボールで囲い静かな部屋に置いて 寝させることにしました。温度変化もいけないと思ったので夏でしたが、一応ヒーターも設置しました。 もうひとつ気になったことがありました。異変を感じて最初の2日ほどは普通のきれいな糞をしていた くもすけが、3日目に、透明のゼリーっぽいものに包まれたカエルの卵みたいな糞をいくつか出したのです。 実は16数年前に、当時まだ3歳だったかめみが、ちょうど同じような季節に、やはり突然様子がおかしくなり、 そのときにも同じようなものを出したことがありました。寄生虫でもいるのでは、と思った私でしたが連れて行った 病院では、寄生虫の心配はないとのこと。栄養不良かウイルス性の病気、どちらかでしょうという診断 を受けて抗生剤とビタミン剤をあわせた飲み薬を処方していただいて帰りました。そして、そのお薬を飲ませる とかめみは何事もなかったかのように2〜3日で元気を取り戻しました。 後になって思えば、くもすけも異変を感じたときすぐに病院へ連れて行っておけばよかったのです。 しかし、当時とは違い、現在の我が家からは病院が遠く、行くにもすごく時間が掛かります。くもすけに できるだけストレスを与えたくないとの思いから、病院へ連れて行くことをことをためらっていました。 ところが、異変を感じて約10日。大変なことが起こってしまいました。突然吐血したのです。 2年前にかめみを亡くしていたこともあり、私はまたか!と思いました。顔面蒼白になりました。翌朝真っ先に 病院に電話をして、すぐに連れて行きました。病院でレントゲン検査の結果、急性胃潰瘍との診断を受けました。 腸や肺には異常はなく、口の中にも傷はないとのこと。糞便の検査もしてくださいましたが、ウイルスは検出 されませんでした。そして、2注射を2本打っていただきました。先生は「亀ですから一か月くらい餌を食べなくても 心配はありませんので、1週間様子をみて、もしよくならなければもう一度来てください。」とおっしゃいました。 そして、3種類の内服薬(止血剤、制吐剤、粘膜保護剤)をを一週間分出してくださいました。 胃潰瘍なので、自宅ではとにかく安静にすること、リラックスさせることとに努めました。お座敷亀ですから、 狭い所へ閉じ込めておくと嫌がりますので、昼間はタオルの中や座布団の下など、好きな所に潜って安静に させていました。夜は水場を段ボール箱で覆い、静かな部屋に置いて眠らせました。お薬はお水に戻る前に 飲ませますが、最初はなかなかうまく飲んでくれず、お薬がきちんと届いているのかどうかが不安でした。 時々ウンチから吐血のときの残骸と思われる黒っぽいもの、褐色っぽいものが何度か出ましたが、鮮血ではなく その後新たな出血はない様子でした。 一週間が経ちましたが、ときどきベランダにも出たがるようになって少し元気になってきたかと思うと、眠って ばかりの日も多かったり、一喜一憂の毎日でした。もういちど病院へ連れて行くべきかかどうか悩みましたが、 連れて行ったときの負担の大きさを考えるとどうして連れてゆく気になれず、もう少し様子を見ることにしました。 しかし、それから二日。また吐血をしました。黒っぽかったり褐色っぽかったりではなく鮮血です。同時に得体の 知れない変な物が一緒に出てきました。翌朝、それも持参して再び病院へ。得体の知れない物体は先生も 「一体なんだろう。さっぱりわからないな。」と首を傾げておられましたが、顕微鏡を覗いて「この時期なので、 数時間置いておけば細菌が増殖するのは当然だけれど、細菌の塊がありますね。炎症も見られます。」と 言われ、抗生物質を注射してくださり、飲み薬にも抗生剤を追加してくださいました。 そして、それかれあ4日目。くもすけがやたら水に浸かりたがり、私に何かを要求してきます。 ダメ元でレプトミンを入れてみたら、なんとレプトミンをパクパク食べ始めたのです。同時に、これまでタオルの下 でじっとしてることが多かったくもすけが、徐々にベランダにも出たがるようになり、動きも機敏に、徐々に力も 強くなってきました。これまでは私を警戒してぴりぴりした感じがあった表情もどことなくや和らいだ感じがしてきて、 くもすけらしい人懐っこさも少し戻ってきました。 抗生剤が効いたのかもしれません。異変を感じてすぐに病院へ連れて行って抗生剤を与えておけばここまで 悪化させることなくすぐによくなっていたのではないかと思うと、可哀想なことをしてしまったと思うと同時に、 飼い主としてなんと申し訳ないことしてしまったことかと悔やまれます。 実は今回、くもすけが体調を崩す一週間ほど前に、くもすけを連れて実家へ帰省しました。実家へつれてゆくこと 自体はこれまでにも何度も経験させていることですし、実家滞在中もとても元気で食欲も旺盛だったくもすけ でしたが、帰路、長時間電車が止まってしまい、かなり長時間バッグに閉じ込めるハメになってしまったのです。 そのとき、くもすけがいつものように大暴れしなかったことがすごく気になっていましたが、帰宅後はごく普通 に暮らしている様子でしたので、てっきりもう大丈夫なんだと思っていました。しかし、そのときかなりのストレスが かかっていたのではないかと思います。そのことで免疫力が低下していたところへ何かの細菌に感染して しまったのかもしれません。 2012年9月25日現在、くもすけはまだ完全にもとの元気さに戻ったわけではありませんが、少しずつ少しずつき 快方に向かっています。先生からは、胃潰瘍のお薬・粘膜保護剤は最低2週週間、ほかのお薬も完全に よくなってから最低3日間は続けるようにとのご指導いただいておりますので、毎日朝夕お薬を与えながら 療養させています。胃に傷を負ってしまったのですから、全快するのに時間がかかるのは当然ですし 仕方ないですが、早くまた私に追い掛け回してまとわりついたり、足に噛み付いてくるくらいの元気さを 取り戻して欲しいです。 これまで病気一つしたことがなかった健康で元気いっぱいのくもすけでしたが、来年でもう20歳。くもすけももう若く はないんだということを痛感した出来事でした。くもすけにはかめみの分まで長生きしてもらえるよう、元気に なってくれたら今後はじゅうぶん気をつけて、いたわってやりたいと思っています。 (2012年9月25日) |