産卵期に多いトラブル (排卵管が出て戻らなくなる) (2017年7月 26日掲載) 産卵期のメスのカメさんによくあるトラブルといえば、まず思い浮べるのは”卵詰まり”ですが、ここで取り上げるのは "産卵後に排卵管が出て戻らなくなる"というあまり聞き慣れないトラブルについてです。 みなさんのお役に立てばとミシシッピアカミミガメのマルちゃんの飼い主さん、のばらさまが掲示板に体験をシェア してくださっていますので、時が経っても目に留まりやすく必要としておられる方に情報が役立つよう こちらに改めてまとめてさせていただきました。 マルちゃんの体験 (「」内ブルーの文字の部分はのばらさんが掲示板(2017年6月23日〜7月23日)に投稿してくださったコメントより 抜粋させていただいております。全スレッドを読みたいという方は掲示板をご覧ください。) 「その日はお昼頃から、まるちゃんは4時間か5時間ぐらい、クッションによりかかって、うーん、うーんとりきんでました。 夕方になって卵が2つ出ていることに気が付き、卵を取り除きました。そのときに、総排出腔が出ていることにきがついたんです。 ウミガメが確か産むときに出す・・・とかテレビでやっていたのでしばらくほおっておいたのですが、一時間たっても 水につけてもひっこまないのです。ネットで調べて、放置しておくと死に至る病だとわかり、動転し、いつもの動物病院に 電話したら、危険な状態だとわかってびっくりしたのです。 いきつけの動物病院に電話したら、先生は往診に出ておられて、診察は無理とのこと。病状を話して明日の朝、一番にお伺いします、 と言いました。それから2時間ぐらい経った時、いきなり家の電話がなり、先生からでした。先生が言うには「その出た総排出腔に 砂糖をおもいっきりたくさんまぶして、水分を出して、お尻の穴にその出たものを押し込んでください」「またすぐ出るでしょうけど、 再度繰り返してください」一時間ぐらい必死に砂糖だらけになりながらやってみたのですが、ソーセージのように腫れあがった 卵管はどうしてもお尻の穴に入りませんでした。それで翌日、動物病院に連れて行ったのですが、ケースをあけたら、 マルちゃんのしっぽから風船のように出ていた赤い卵管は、破裂した風船のようにぺっちゃんこのしわしわ、ぺらぺら状態になってました。 先生はなんとか縫合してお尻の穴の中にほうりこもうとしたのですが、すでに壊死してきていて、縫っても縫ってもビリビリにさけて きたので、切除したそうです。その手術に4時間ぐらいかかったんですよー。麻酔するので手術承諾書かかされました。」
これは卵を産む歳のメスにはよくあることで、病院でも多く診てきている症状みたいです。 そもそも、ミドリガメはこの卵管や性器が出てきてしまって、もどらない症例が多々あるそうです。 手術の方法は、大きめのカメ(20cmほど)なので吸入による全身麻酔の後、 尾から卵管をひっぱりだし、 壊死の部分を切り取って縫合し戻す、という手順でした。」 ちなみに、カメの卵管は2本あるうえ切除した卵管も再生するんだそうです。 のばらさんが掲示板に投稿してくださった、術後のマルちゃんの様子は 「あのあと、マルちゃんはすこぶる元気です。前の卵づまりの時にマルちゃんは死にかけたので、 ずっと29度設定のヒーターが入った水槽の中にいます。よく食べるし、ウンコオシッコもたくさんします。 夜は表に出してお散歩させています。気になるのは、まだ体内に残っている、くの字の形の大きな卵と 楕円形の小さな卵。全然、出す気配がありません。病院に連れて行ったら、また注射で出してもらえる のでしょうけど、それで出なかったら、先生は腹を切り開く手術は経験がないので、できないと言います。」 手術は無事成功し、順調に回復し、マルちゃんは元気いっぱいとのこと。ただ、手術が終わった時点で卵が2個 まだ残ったままの状態でした。通常卵が残っている場合はお腹を開いて卵巣も摘出してしまうことが多いそうですが 先生にご経験なくそれができないというので、残ったままの2個の卵のことが心配でした。 しかし、後日のばらさんからこんなほっとするご報告がありました。 「昨日の朝、卵管の手術をしたマルちゃんの水槽をみたら、なんとマルちゃんがビーンズ型の卵を産んでました。 レントゲン撮影の時は、大きなビーンズ型の卵とこぶりの丸い卵が確認されていたので、残りは、あと一個と いうことになります。まったく、いきむ姿をみせていなかったので驚きました。マルちゃんは、以前卵つまりを みせてからずっと、夏場でも30度設定のヒーターの入った水槽の中に入っていてものすごく元気で食欲も糞もたくさん。 このあと、また新しく卵ができてこないとよいのですが。去年は産卵数は4個ぐらいでした。」 さらに、その3日後には 「昨夜のことですが、こたつ布団をあげたところ、マルちゃんがまた出産していました。レントゲンに映っていた卵は ビーンズ型と小さな卵の2つ、これで全部、卵は産んだことになります。まさか、こたつの中で(こたつは電源は 入ってなくて食卓として使ってあります)卵をすんなり産むなんて、びっくりです。 卵は白くて柔らかくて、黄身が入ってないみたいなので、切って開いてみたところ、きれいな白身とカラザ?だけでした。」 「マルちゃんは、一昨年卵詰まりを起こして、死にかけた時も、排卵促進剤の注射を受けて 次々と卵を産んでくれました。だから今年もきっと大丈夫と、動物病院の先生に言ったら「その時からまた 2つ年とってるわけだからねえ」と手厳しいことを言われ、しゅんとなってしまいました。 それでも、きちんと産んでくれたわけなので、ほっとしています。昨夜、動物病院の先生から「その後、どうですか」と 電話があり、「産みました!」と言ったら「それはよかった」と言いつつ、びっくりしてました。」 心配していた2個の卵も無事自力で産卵。マルちゃん、ほんとうによくがんばりました。 のばらさんが書いておられるように、マルゃんは2年前の夏にも、卵詰まりを起こしてとても危険な 状態に陥り、排卵を誘発する注射の力を借りて元気を取り戻したという経験があります。 何度も大変な状況に陥りながら、その都度立派に危機を乗り越えて元気を回復してきたマルちゃん。 そんなマルちゃんの生命力には感動します。 大変な試練を乗り越えたのばらさん、そして愛亀のマルちゃん、ほんとうにお疲れさまでした。 そして情報を分かち合ってくださり、ほんとうにありがとうございました。 のばらさんとマルちゃんの辛い体験が、たくさんの飼い主さんや亀さん達のために生かされますように!
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