<2017年・くるみの産卵レポート>
2017年夏、7歳を迎えたミシシッピアカミミガメ・くるみ、5年目の産卵の様子をレポートします。
6月26日 | |||||||||
春から何度となく落ち着きがなくなることはあったものの、しばらく落ち着いていたくるみ。 この日突然、本格的に”たま活”が始まりました。早朝から水場を飛び出し家のなかをゴロゴロし始めました。 産卵活動に入る前のくるみにはいつもお決まりの兆候が見られます。 それは、やたらと身体を温めたがるようになること。これはかめみも同じでした。 例えば ・屋外に進んで出て行って日のよく当たる所で足を延ばし目を細め、何時間でも日光浴するようになる ・人の身体に登ってきて体温で温まろうとするようになる ・水場の水にお湯を足すと喜んで水場から出て来なくなる・・・ というような感じです。 このような状態が今回もかなり前から続いていました。そのため、つい2日ほど前にくるみが夜間を過ごして いる水が入った容器の下にペット用の防水パネルヒーターを敷き始めたばかりした。 それで身体が温まり代謝が上がって、産卵活動モードにもスイッチが入ったのかもしれません。 |
|||||||||
|
|||||||||
7月1日 |
|||||||||
床を掘るような仕草を始めたので、下見も兼ね、夜、近くの公園へ連れ出してみました。 今年は引っ越しをしたため、現在の環境でくるみの産卵時期を迎えるのは今回が初めてです。 現在の住まいがある場所は、すぐ傍に野原や立派な公園がいくつもあった去年までの環境と比べたら 交通量や人通りが多く騒々しくて、周りを見渡しても緑豊かで静かな場所がありません。
しかし、この日は行ってみると狙っていたベンチにスマホをいじる男性が座っていて、なかなか空きそうにない雰囲気。 仕方なく2番目に近い公園へ行ってみたら、こちらはひっきりなしに走る車の音、すぐ横に走る電車の音、 さらに街路灯や周りの商業施設の明かりに煌々と照らされて、全く落ち着けません。 車は滅多に通らず聞こえてくる音といえば虫の声ぐらい。明かりも月あかりと遠くにある街路灯くらいのもの、というような 自然に恵まれた環境しか知らないくるみはビックリしたかもしれません。もちろん、まだ機が熟していなかった のでしょうけれど、そこにくるみを放しても足早に走り回るだけなので、この日の下見はこれで終りにしました。 |
|||||||||
7月8日 |
|||||||||
大潮が始まりました。くるみはこれまでかなりの高確率で大潮の日に産卵しています。 くるみが産卵するのは例年7月末〜8月上旬ですから、それと比べるとまだ早いようには思いましたが 念のため、またショッピングモールの入り口に連れて行って、草が茂っている部分に放してみました。 が、やっぱり走り回るだけで掘る気は全くなし。 これ以降は徐々にベランダに出ても走り回るより日光浴している姿を見ることが多くなり、食欲も増し、 大潮が終わる頃にはすっかり静かになってしまいました。やっぱり機はまだ熟していなかったみたいです。 |
|||||||||
転居で環境が変わって、家での対策にも今年は新たな工夫が必要になりました。 ベランダの仕切りの幅が前より広くて、お隣との間を塞ぐのにこれまで使っていた衣装ケースのフタ1枚では足りません。 さらに、今年はなぜか向こう側が透ける半透明の衣装ケースのフタでは、くるみがどうしても仕切りの向こう側へ 行きたがり、何度連れ戻しても興味を持ちます。
|
|||||||||
7月22日 | |||||||||
しばらく休んでいたくるみが、突然朝から活動を再開しました。 明日からはまた大潮も始まるため、今度こそは、と私の期待も高まります。 |
|||||||||
7月24日 | |||||||||
くるみの活動もすこし煮詰まってきて行動範囲が狭くなってきた感じがしたので、また例の公園へ連れて行ってみましたが 花壇ではあじさいの剪定が終わり、茂っていた草もきれいに刈られてしまっています。 放すと走り回って、あまり行って欲しくない花壇の奥の方へばかり何度引き戻しても行ってしまいます。 ショッピングモールの入り口にある憩いの場ですから、夜でも明るく、人通りも多く去年まで産卵していた場所とは 全く違います。くるみ目線になって見れば身を隠す場所もありません。 もしかしたら、くるみはそれが気に入らないのではないかと思いました。 産卵する雰囲気は全く感じられないので、すぐ引き上げました。 |
|||||||||
7月25日 | |||||||||
4日間の大潮もこの日が最終日。くるみの行動も少し落ち着き始め、今回も産卵しないまま終ってしまうのかと 半ば諦めながら、例の公園では産卵してくれる可能性は低いことがわかったため、次の場所を探しました。 次の候補として思い付いたのは、いつもの公園よりかなり遠い、駅とは反対の方向の住宅街にある小さな児童公園。 さっそく下見に行ってみると、公園の内側には産卵に適した場所はないけれど、公園に面した外側の細い道に いい具合に草が茂った場所が見つかりました。交通量の多いバス通りからは少しだけ奥まっているため静かです。 家に戻ると、くるみは水の中ですっかり落ち着いています。が、私が近づくたび顔を見上げ、何かを訴えかけるような 表情をします。水から出してやるとくるみはベランダへ行ってしまいました。しかし、ここでもとても静か。 何をしているのかなと思って見に行ってみると、オリヅルランの鉢の上に座っています。 くるみは座っているだけで鉢は掘りませんが、これまでの経験から、くるみが植木鉢の上にじーっと座っている のは産卵の兆候である可能性が高いと感じました。まるで「卵を産みたいから、こんな所へ連れてって。」という アピールのようです。そこで夜暗くなってから、昼間下見したばかりの公園へ連れて行ってみました。 公園の端っこの方、昼間目を付けてあった小径の脇の草が生えた部分から近い所にくるみを放してみたら やっぱり草があまり生えていない公園はやっぱりお気に召さなかったようで、フェンスの下を通り越し 低い段差をゴロンと転がり落ちて、道の脇の例の草が生えた辺りに行ってしまいました。 そして5〜10分くらい、慎重に場所を選び、周りより少し丈が高い草が茂った部分の根元に落ち着きました。 暗くてよく見えませんでしたが、草をかき分けて目を凝らしてよーく見てみると、前足で土を引っ買いて地面を 掘っているのがわかりました。「この場所で卵を産むことに決〜めた!」というサインです。 やがて、後ろ足で土を掘り始め、草の根がプチプチとちぎれる音も聞こえてきました。 こうなると、これから約2時間、私は暗闇の中この場所でくぎ付けになっていなければならないということに なるのですが、この段階まで来た時にはいつも、そんなことより「これでやっと産んでくれる。」というという 嬉しさの方が勝って、万歳したいような気持ちになります。 デリケートで几帳面で性格をしたくるみは、約一時間半ほど掛けて深い深い穴を真剣に掘って やっと産卵までたどりつきました。ポトンポトンと次々軽快に卵を産み落としていたかめみとは違って くるみは1個産んでから次産むまでの時間がとても長いのが特徴。 ひとつまたひとつとゆっくりゆっくり、全部で10個の卵を産みました。
気が済むまで水の中で埋め戻しのしぐさを続けていました。
|