<レントゲンに映らない卵詰まり(卵胞うっ滞) 

                                               (2014年11月11日掲載)


卵詰まりを心配して、レントゲン検査で卵の有無を確認することは多いと思います.。
そして、もし卵が映らなけれえば「卵は持っていない」と認識するかもしれません。
ところが、レントゲンでは見つけられない卵詰まりがあるようです。実際には、多くの亀さん達が
経験しているかもしれないにもかかわらず、 亀の飼育は情報も乏しく、知識のある獣医さんも
少ないため、見逃されがちな「隠れ卵詰まり」です。その兆候に早く気付き適切に対処するためには
飼い主自身が知識を持っておくことも必要です。
そこで、”かめかめゲストブック”&掲示板で長年お世話になっている飼育のお仲間・くろよん様から
掲示板へのご投稿によって提供いただきました愛亀・オスカルちゃんの闘病体験を
みなさんのお役に立てていただきやすいように、改めてここにまとめさせていただきました。

オスカルちゃんの闘病体験 
いつもはホリホリを開始すると3〜4日のうちには卵を産んでいたという安産型のオスカルちゃん。
ところが、この時は開始したり休んだり・・・と断続的ではあるものの2か月以上もの間、
産卵前のような仕草が続いていたそうです。かかりつけの動物病院ではレントゲン検査も受け、
卵は映らなかったのに、その後もオスカルちゃんのホリホリは相変わらず続いたそうです。
そして、やがて食欲も落ちて便通も悪くなり、ホリホリにもだんだん力が入らなくなってきたように
思えたとのことです。明らかにいつもの産卵時とは違うオスカルちゃんのそんな様子に
「何かおかしい!」と感じられた飼い主のくろよん様は、ネットで調べて、レントゲンには映らない
卵詰まりがあることを知ったそうです。
そして、さっそく亀の手術をしてくれる病院を検索して探し、オスカルちゃんを連れて行かれました。
診断された病名は「卵胞うっ滞」。これは卵殻のない卵の元がたくさん詰まってしまっている状態で
決して珍しくはない、オスガメとの接触がない雌ガメにほんとうによくある病気なんだそうです。
このときのオルカルちゃんは、溜まった卵が消化管を圧迫してしまっている状態で
エコーで足の付け根の部分を確認するとたくさんの卵が確認されたそうです。卵胞は卵殻がない卵
なので超音波ではすぐに判明できても、レントゲンには映らないようです。
その後、オスカルちゃんは肺まで圧迫されていないかを確認するためレントゲン検査も受けましたが、
幸いにもそちらは大丈夫で、血液検査でも内臓の機能にほぼ問題がないことがわかったそうです。
ただ
、内科的に除去することはほぼ不可能なため、そのまま入院し、その5日後に外科手術をして
除去することになりました。
手術は無事成功。手術前のCT画像では消化管のスペースの半分もを占めていた卵胞は、
摘出すると両手いっぱいほどのすごい量あったそうです。オスカルちゃんもそれほどたくさんの卵が
お腹に詰まっていたのでは苦しかったでしょうね。
手術で卵を取り除いてもらってスッキリしたオスカルちゃんは、麻酔からも順調に覚め、3日後には
術前には全く食べなかったというご飯も食べるようになり、術後11日目にはめでたく退院することが
できました。

飼い主のくろよん様も「放っていたら少しずつ弱って死んでしまったかもしれないと思うと、よい先生の
ところへ早く連れて行くことができて本当によかったです。」とおっしゃっていますが
いつもとは様子が違うことに早く気づいてあげられたことでオスカルちゃんの命を救うことができました。

このようなお話を聞くと、雌亀を飼育している飼い主さん達は怖くなって、今まで以上に卵詰まりのことが
心配になってしまうことがあるかもしれませんが、卵を持っていないにもかかわらずホルモンの関係で
産卵前と同じような仕草をすることはあるようですし、また、
亀は卵をかなり長く持っていることもでき、
その間にできた卵胞が身体に自然に吸収されてなくなってしまうというようなこともあるそうですから、
あまり心配しすぎないでくださいね。

闘病体験を分かち合ってくださったくろよん様、そして愛亀のオスカルちゃん、ほんとうにありがとう
ございました。辛い経験がたくさんの飼い主さんや亀さん達のために生かされますように!

              ご協力してくれた「オスカルちゃん」のプロフィール

 カメの種類&性別:クサガメの女の子
 年齢: おそらく15歳くらい (2014年11月現在)
       正確な年齢は不明
 体重: 1.4s
 甲長: 20cm
 飼い主さん:くろよんさま

 気が小さくて怖がりだけど、以前一緒に暮らしていた
 相棒のアンドレちゃんをケガさせてしまったこともある
 という暴れん坊さん。アンドレちゃんとは実の姉妹で、
 姉妹のお名前はご主人が当時ケーブルテレビで放映中
 だった”べルばら” にちなんで付けられたそうです。
 現在、くろよん家では5匹の亀さんを飼育して
 おられます。オスカルちゃんを含め、4匹は
 亡きお父様から譲り受けられた亀さんだそうです。


(写真)上:オスカルちゃん
     下:日光浴中のオスカル(右)&アンドレ(左)姉妹
 

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