サルモネラ菌について 

 ゲストブックの方で、食品衛生の分野での経験をお持ちの”きょんもぐちゃんのパパ様”から投稿していただきました
   サルモネラ菌についてのご助言に、さらに補足を加えていただいたものを、皆様が必要な時いつでもご覧になれるよう
   こちらに掲載いたしました。ぜひご一読いただけましたら幸いです。
   サルモネラ菌を正しく理解し、上手に扱い、安心して亀飼育を楽しみましょう!

  きょんもぐちゃんのパパさまからのアドバイス

        
 菌は「恐れるもの」ではなく「管理するもの」(食品衛生の観点から)

   サルモネラ菌は、亀さんだけでなく、犬やネコ、公園や山の土の中、つまりは、ありとあらゆる場所に存在します。
   サルモネラ菌に限らず、いろいろな菌も同様です。人間をはじめ、あらゆる生物が毎日の日常で、いろいろな
   「菌と共存」をしているのが実情です。みなさんは、意外に思われるかも知れませんが、人間の食べる「食品」
   ですら、実はいろいろな菌が付着しています。しかし、そういった「食品」をわたしたちが食べても平気なのは、
   「菌」の量が、普段わたしたちと共存していくことができる範囲内であるためです。

   しかし、この共存関係が、突如壊れる時があります。サルモネラ菌等の菌が増殖する上で必要なものは、

   ★「ある程度の温かい温度」
   ★「湿り気」です。

   この2つの条件が揃うと、菌はここぞとばかりに爆発的に(天文学的に)増殖します。毎年、梅雨時に食中毒等
   が多発するのはこのためです。

   ここに、面白い話があります。
   みなさんは、食品を保存する時に、冷蔵庫に入れますよね。これは「温度」の方を管理して、菌を増殖させない
   ためです。一方、海苔や魚の「干物」などは、なぜ冷蔵庫に入れなくても腐らないのでしょうか。
   これは「湿り気」の方を管理して、乾燥状態にしているためです。
   普段はあまり「悪さ」をしないで共存している菌でも、この「ある程度の温かい温度」と「湿り気」と言う2つの
   条件が揃うと、とたんに爆発的に増えて「悪さ」を始めます。それを、「冷蔵」または「干物」という方法で、
   2つの条件が同時に揃わないようにしているのです。

   「座敷亀さん」が暮らす、家の中のじゅうたんや畳などは、普段は乾燥していますので、上記の「干物」の
   原理と同じように、菌は繁殖どころか生きてゆくのも難しい状態となります。
   (病院の床やレストラン等の調理場の床に、水を弾くドライ加工の塗装が好まれるのはこのためです)
   逆に、どんなに綺麗にしている亀さんでも、「座敷亀さん」ではなく、むしろ「水槽の水の中で飼っている亀さん」の
   場合、特に夏場の「水」には要注意です。(2つの条件が揃ってしまうためです。)
   亀さん側ではなく、この水の側の方の雑菌が天文学的に増えていきます。
   (これは、亀さんのせいではないどころか、むしろ亀さんは被害者でもありますよね)
   ですので、例え目で見て水が汚れていないように見えても、夏場は毎日水をとり替えてあげることをお薦めします。
   亀さんもきっと、気持ちがいいと思いますよね。そう言えば、亀さんはとても利口で、ある程度以上に
   水が汚れると、例えその水の中にいても一切水を飲まず、それが原因で脱水症状になる場合もあると聞いたことが     
   あります。
   昔、「亀をさわって食中毒になった」等の新聞記事があったそうですが、
   原因は「亀」などの水辺の生物や小動物ではなく、むしろ「夏場にとり替えをサボった水で濡れた
   手を洗わずに、そのまま食べ物を食べてしまった人間」に原因ではないかと、思えてなりません。




ミドリガメとサルモネラ菌

ミドリガメがサルモネラ菌を持っている、というのはあまりにも有名ですので、どなたも一度は耳に
されたこがあるのではないでしょうか。
世間ではすっかり悪者扱いされてしまっているミドリガメ。でも、サルモネラ菌を持っている可能性
がミドリガメだけにあるわけではありません。危険度はどんなペットでもみんな同じ。
また、すべてのミドリガメが食中毒を起こす病原性の強いサルモネラ菌を必ず保有している
というわけでもありません。
亀を触ったあとは必ずきれいに手を洗い、亀を触った手では絶対食べ物は触らないよう注意し、
しっかりお世話をして清潔な飼育を心がけてさえいれば、あまり神経質になりすぎる必要はない
と思います。

かめさんを飼育、さらには座敷亀するにあたっては、衛生面がどうも心配・・・という方もきっと
たくさんおられることでしょう。そこで、サルモネラ菌について簡単にですが調べてみる
ことにしました。

まず「サルモネラ菌」とひとことで言いますが、自然界にはどこにでもある細菌で、
じつは正確には2000種以上の種類があるそうです。
そしてその中で、食虫毒の原因になるとされている病原性の強いタイプはその中のごく一部。
つまり、ミドリガメが持っていると恐れられたり、細菌検査で陽性・陰性、を判定してもらうのは
このタイプのサルモネラ菌のことなのです。

サルモネラ菌とは、もともと腸内常在菌として人も動物も保菌している細菌。もちろん爬虫類にも
消化を助ける菌としてサルモネラ菌は常在しているそうです。ただ、それは通常病原性の弱い
サルモネラ菌。爬虫類が猛毒タイプのサルモネラ菌を保有していることは通常はなそうです
(猛毒タイプを持っていることが多いのはネズミや鶏です。鶏卵にサルモネラ菌がついている
ことがあるといわれるのはそのためです。)
しかし、実際には本来持っていないはずの食中毒の原因となる毒性の強いサルモネラ菌を保有して
しまっている爬虫類、カメがいることも確か。それはなぜなのでしょうか。
それは、飼育者や他の動物達、さらには汚染された水や土壌など、環境からの感染が原因で、
湿気や温度の高いカメさんの飼育環境も菌を増殖させる要因となるようです。
つまり、エサや飼育環境に気を付け、しっかり健康管理をして毒性の強いサルモネラ菌に
新たに感染させてしまわない飼い主側の努力も必要なのです。

尚、サルモネラ菌は経口感染する菌で空気感染の心配はないようです。加熱により殺菌でき
70度以上でほとんど死滅するそうです。乾いている場所についてはアルコール除菌も有効で
消毒用アルコール(70%エチルアルコール)噴射で殺菌できます。(湿気があると雑菌が
生き延びてしまうため、アルコールの塗布や噴霧の消毒も、乾いた部分でしかほとんど
有効性はありません。)

多くの種類のヌマガメの中でも特にミドリガメだけが悪者になってしまったのは、もしかしたら、
ミドリガメは他の種類のカメに比べ生命力が旺盛で、汚染された川など劣悪な環境でも
生きてゆけるカメだからなのかもしれません。

では万が一、飼育しているカメさんが病原性の高いサルモネラに感染してしまっていたら・・・
例えば、ヨーグルトなど善玉菌を含むものにはサルモネラ菌を除去する効果があるそうですから
それで悪い菌の定着を防ぐといった方法も有効なんだそうです。実際アメリカではそのための
サプリメンなども売られているらしいですよ。飼い主さんの感染予防にもヨーグルトを食べる習慣を
つけておくことはよいことかもしれませんね。

ただ、病原性の強いサルモネラ菌以外でも食中毒を起こす可能性が全くないというわけでは
ありませんので、繰り返しますが、カメさんを触ったあとは必ず手をきれいに洗い、
そのままの手で食べ物を触らないこと。お食事を扱うキッチンなどでカメさんの水かえを
しないこと。エサにも気を使い、水換えやケージのお掃除もこまめにして清潔な環境で
飼育するよう心がけましょう。可愛い「ミドリガメ」を世の中の悪者にしないためにも、ね!
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