くるみとの出会いをお話するためには、まず、わが家に突然起こった大変悲しい出来事からお話しなければ
なりません。2010年7月13日。これまで元気にしていたわが家のかめみが突然天国へ旅立って
しまいました。そして、かめみが天国へ旅立った翌日、獣医さんからご紹介いただいた、亀さんも火葬、
ご供養してくれるというお寺へかめみを預けにいきました。
突然の悲しいアクシデントに完全に気が動転していた私。この日、自宅からお寺へ行くまでの道のりはとても長く
辛く、まともに電車に乗ることも、歩くこともができません。それでも、休み休みやっとのことでお寺にたどり
着き、なんとかお寺でかめみとの悲しいお別れを済ませることもできましたが、その後、家に帰る気力は
全くありません。しばらく、お寺の休憩室で休ませていただきましたが、その間も頭が変になりそうでした。
あまりの辛さに「今のこの苦しい胸のうちを誰かに聞いてもらいたい。そうすれば少しは楽になれるかも!」
そう思いました。時々目の前をお寺のお坊さんが通りすぎていかれます。お声を掛けてみようか、と
何度も思いました。しかし、よく存じ上げていないお坊さんに声を掛ける勇気がありません。
そこで頭をよぎったのが教会でした。幸いこのお寺からは地下鉄を一度乗り換えるだけでいける場所に
私の馴染みのカトリック教会がありました。
「今から教会へ行って神父様に聞いていただこう。」そう思っただけで気持ちが少し楽になりました。
そして、教会の事務所でお願いして、お手すきの神父様にお話を聞いていただくことになりました。
お昼の休憩を終えて一番先に戻っていらした外国人の神父様が、お部屋へ通してくださり快く私の話を
聞いてくださいました。
私は、長年わが子同然に可愛がってきた宝物のような亀が突然死んでしまったこと、今の気持ち、辛さ、
今この心の状態から一日も早く抜け出したいのだけれど、自分の力では何ともできないので、神様にお願い
して自分の心を何とか変えていただきたい、そのためにはどのようにすれがよいのでしょうか・・・など、
一気にお話をしました。神父様は何もおっしゃらずに黙って私の話を聞いておられました。
そしてその後、意外なことを言われました。
「今のあなたには祈りは必要はありません。もし祈りが必要ならば誰か他の人に祈ってもらいなさい。
今のあなたにはそれよりもっと大切な、やるべきことがあります。何だかわかりますか?
今日ここから家に帰るまでの間に、亀さんを一匹買って帰ることです。いいですね。絶対にですよ」と。
神父様からのアドバイスが「祈らなくてもいい」なんて・・・何ということかと思いました。
私はどのようにお祈りをすればよいかをアドバイスしていただきたかったのに、亀を買いなさい、とは。
私がかめみ&くもすけを飼育してきたのは特別なご縁があって出会った亀だったからで、かめみ&くもすけ
以外の亀を飼育することなんて、しかも亀を買って飼うなんて、、、うちにはあり得ない、考えられないこと。
そう思いました。そして、神父様にそのようにお話しました。すると、神父様はおっしゃいました。
「あなたはご縁と言いますが、お店で亀と出会うことも同じご縁ではないですか?それでは大切な事を
見逃してしまうかもしれませんよ。」と。このお言葉には目からウロコでした。
そういえば、かめみ&くもすけと私達の出会いは確かに感動的な出会いでしたが、このような一見素敵な出逢い
だけがすばらしい出逢いでもありませんし、特別なご縁でもありません。私がこれまで「かめみ&くもすけ
以外の亀は飼わない」と思っていたのは、単に”感動的な出逢い”にこだわっていただけだっだったのでは?
と思った途端、急に「新しい亀をお迎えしてもいいな。」と思えるようになりました。
そして、「新しい亀をお迎えする。」という考えを持つだけでも、先に希望が持て、真っ暗だった心に光が
差し込んできたと感じ、気持ちが急に軽くなってきました。これには自分でも驚きました。
そして、その日家に帰って今後どうするかをさっそく主人と相談しました。亀さんをお迎えするにあたって、
まずペットショップで生まれたばかりの子亀を買うか、飼い主さんが飼えなくなった亀さんの里親になるか、
の選択肢にぶつかって迷いましたが、考えた末、ペットショップへ行って幼い亀を買うほうを選ぶこと
にしました。かめみ&くもすけを拾ったときには亀に全く興味がなく、これまでまともな子亀飼育を経験して
きていないわが家でしたので、この際、いちど亀を最初からきちんと育ててみるのもよいだろうと思いました。
さらに、かめみ&くもすけのようにできればうちの亀らしい独特の個性を持つ亀に育って欲しいと思いました。
そのためにもより幼いときから育てたほうがよいのではないかと思いました。
かめみの後継者を買うという道を選んだことはペットロスに苦しむ私の唯一の希望の光となりました。
しかし、やはりかめみを失ったショックは大きすぎて食事も全く喉を通りませんし、疲れていて眠いにも
関わらず夜は一睡もできません。眠れずもうろうとしながら、頭の中には新しくお迎えする亀さんのこと
ばかりがぐるぐると巡り続けます。慣れない幼亀飼育を始めると思うといろいろと不安も出てきて
「今はもう7月の下旬。ミドリガメを飼育しはじめるのであれば、冬までに少しでも体力をつけられるよう
一日も早く飼育を始めておかなければ。明朝起きたらさっそく亀を買いに行こう」・・・そう思う一方で
先日お寺へ預けてきたかめみのお骨が帰ってくるまでにはまだ3日もありましたから、「いや、かめみが自宅へ
戻ってくる前に新しい亀をお迎えすることは絶対にできない。ヤキモチ焼きのかめみがすねてしまう。」
そのようにも思い、迷いました。
翌朝、主人に昨夜頭の中を巡っていたことを話し、相談してみました。すると主人は「今日さっそく亀を
買いに行けばよい。」と言います。そのことで、私も「いつまでも過去に執着して悲しんでいないで、
新たな未来に目をむけ先に進んでいくことがかめみのご供養にもなるのではないか。」と思える
ようになり、迷いも消えました。そして、今からさっそく亀を買いに行こう、と決心しました。
しかし、いざ出かけるとなると、いったいどこへ行けばよいのやら・・・
とりあえずネットで亀を売っているお店がありそうなところを探しました。そして目に留まったのが
亀ゆかりの地・亀戸でした。ここはお店がいくつかありそうだったのと、亀さんがたくさんあるお池の
ある亀戸天神もあります。お店での出会いに加え、もしご縁があればお池から迷い出た亀さんに
道で出くわす可能性だってあります。
さっそく亀戸へ向かいました。そしてお店をめぐってみることにしました。一軒目のお店には
亀さんがいましたが、2件目のお店には水棲動物はいませんでした。そして3件目のお店へ。
ここは最初に入ったお店とは違い、亀さんがお店の外側、屋外の直射日光が当たる場所に
置いてありました。これが決め手となって、ここのお店で亀を買うことになりました。
いよいよかめみの跡継ぎを選ぶ時がやってきました。
”かめみの跡継ぎ”ですので、将来は卵を産むようになること覚悟で、できるだけ女の子を選びたいと
思いました。さらに、できれば顔もできるだけかめみと似た子がいいなとも思いました。
容器の中にいる亀さんはどの子も元気そうです。一匹、特に気になる子がいました。やんちゃそうで
愛嬌があってとても可愛い子でした。しかし、その子をちょっと摘み上げ、ひっくり返してみると
排泄口の位置と腹甲の形がどうも雄っぽい気がするのです。じつは、雄のアカミミも育ててみたいと
いう気持ちがあったので、この子には心が惹かれました。しかし、今回はかめみの跡継ぎ選びに来た
のですから、l今回はやはりどうしてもできるだけ雌っぽい子を選びたいと思いました。
次に石をのけてみると下に隠れていた亀さんが慌てて何匹も出てきました。次に目に留まったのは
その中の一匹でした。コロコロと走り回り一番元気がよく、甲羅も美しくて可愛い子です。鼻先も丸っこく
目は黒目がち。かめみと似ているようにも思いました。さらに、ひっくり返してみると、今度は先ほどの子とは
違って排泄口がもっと内側にあります。この子にしよう、そう思いました。そして「この子をください。」と
お店の人に言いました。
<亀購入初体験>
17年も亀飼育をしていながら、ペットショップで亀を買うのは初体験の私。お店のカウンターで、選んだ亀さんに
異常はないか、チェックシートにある項目をひとつひとつお店のスタッフの方と一緒にチェックした後、契約書に
サインをしました。
契約書には誕生日という項目があり「2010年6月上旬頃」と書いてあります。
きちんとした誕生日の日付まではわかっていないものの、かめみやくもすけ
とは違って生まれた時期がここまではっきりとわかっているというのは
嬉しいことでした。
こうして2010年7月15日、ミシシッピアカミミガメ・くるみがやってきました。
右の写真は我が家へやってきてすぐ、お店で入れてもらった容器にはいったまま
体重測定しているところです。このとき甲長は3・5cm、体重は12g。
かめみの体重の200分の1です。
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くるみはかめみがいなくなった空虚感、寂しさ、悲しみを忘れさせてくれ、もう永久に立ち直れないのでは
ないかと思うほどの辛さから信じられないほどのスピードで私を救い出してくれました。
今後はくるみがかめみの遺志を継いで、大きな使命を果たしていってくれることを期待しています。
「かめかめ飼育日記」に於いても、かめみが作ってきた歴史の続きをこれからはくるみが新たに
描いていってくれることと思います。
みなさん!かめみ同様、末ながくくるみの成長を見守り続け、応援し続けてやってくださいね。
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