かめさんとの出逢い/かめみ&くもすけ編

わが家のかめ、ミシシッピアカミミガメの「かめみ」とクサガメの「くもすけ」に私たちが出会ったのは
1993年の秋でした。

引越し先の新居を掃除に出かけた日曜日、庭に放置されたままの白いプラスチックケースに緑色の水が
底も見えないほどにたまっているのを発見。水を捨てようとしたら、底からゴソゴソゴソ・・・
飛び上がりそうになりつつ、そ〜っと中を覗くと・・・!!!
あらら〜! 中には10円玉くらいの小さなかめが2匹。 静かな生活を突然脅かされて慌てふためいている
ようす。飼い主さんから見捨てられた、とてもかわいそうな2匹の子亀たち。
これが、かめみ&くもすけでした。


右の写真の容器がそのとき放置されていた
白いプラスチックケースです。
この容器はその後も亀たちの水場の
ひとつとなって長い間大活躍してくれました。


写真は出逢いから16年後の2009年
夏に撮影したもので
水をいっぱい張った容器の中では
立派に成長したかめみが
元気よく泳いでいます。



かめみ&くもすけが家族の一員に

そんなかめのいる家へとお引っ越した私たちでしたが、庭にかめがいることははっきりいって頭痛の種。
適当な川か池が見つかれば放しに行くつもりで餌も与えず、かめは庭にずっと放置していました。
水はときどきは換えましたが、当時の私、じつはかめを触るのすら気持ちが悪く、
かめをすくいだすときはスコップを使ってこわごわ。

それから2ヶ月ほど経ったクリスマスも近いある夜。寒い庭に放置したままのそんなかめさんのことが
なんとなく心配になった私は小さなかめを家の中に入れ、洗面器に入れてリビングルームのヒーターの
上へ置きました。・・・これが、いつの間にか2亀を飼うことになってしまったはじまりだったのですが、
さて、かめがいったい何を食べるのやら・・・

手当たり次第にいろいろな食べ物を水の中へ放り込んでみても、亀は暴れるばかりです。
まずは、かめのことをよく知らなければ、と、図書館へ出向きました。
動物図鑑でなんとか私達の拾った亀が「ミシシッピアカミミガメ」と「クサガメ」であるということ
だけはわかったのですが・・・
「かめの飼育法」が詳しく書かれた本はとうとう見つけることはできませんでした。

それから一週間ほどしてやっとかめみが鮭の切り身にはじめてパクリ!と大きな口を開け
かぶりついてくれました。くもすけが市販のかめの餌に興味を示したのはその後さらに一ヶ月ほどして
でした。

私たちと一緒に、初めての冬をヒーターの上の小さな洗面器の中で過ごした2亀は
やがて私たちにもよくなついて、にょきにょき大きくなり、いつの間にか2亀には「かめみ」と「くもすけ」
というりっぱな名前までついていました。
今では2亀はわたしたちにとって手放す事のできない大切なかけがえのない家族です。

かめ好きでも何でもなかった私たちと2亀の出会い。そして思いがけなく多くの楽しみとしあわせを
私たちにプレゼントしてくれた2匹のかめさんたち。
もしかして、これも助けたかめさんたちからの恩返しなのかなぁ?
2亀と私たちとの不思議な不思議な出会いは、まるで浦島太郎のお話みたいでした。
かめさんがしあわせを運ぶ動物、っていうのはきっと本当、わたしはそう信じています。

              その後・・・ (2005年4月6日追加)

かめみ&くもすけと出会ってから5年余りの月日が流れ、1999年2月、かめみ&くもすけと出会った家から
引っ越す日がやってきました。そしてこの日、私は2亀の元飼い主さんがかめみとくもすけを
わざと置き去りにした、という事実を初めて知ることになりました。

お引越しの日、作業も終わり家を出ようとした瞬間、ちょうどお隣に住むおばさんが私達に
お別れの挨拶に来られ、「ねぇ〜ところで、、、あのカメも一緒に連れてゆくの?」と私に訊ねる
のです。カメを飼っていることなんて、おばさんに一度も話した覚えはないのですが・・・

聞いてみると、おばさんは2亀の元飼い主さんの奥様とその後もお付き合いがあって
その奥様から、100円玉位の小さなカメを2匹庭に置いてきた、という話を聞いていらした
んだそうなのです。そして、いつもお隣の2階の窓からうちの庭を眺めながらビニールプール
で泳ぐカメたちを見て、うちにカメがいることもよくご存知だったそうなのです。
「だけど、100円玉くらいのちっちゃなカメって言ったわよ。それにしてはお宅にいるカメは
随分大きいけど、あれが置いて行ったというカメ?」と言われました。

それまでは、2亀の元飼い主さんはカメがいることをすっかり忘れてしまっていたために置いて
行ったんだ、とばかり思っていた私でしたので、2亀のことを今もハッキリ覚えていらっしゃるんだと
いうことを知りちょっとショックでした。そして、この家を去る時になって初めてこういうことを
知った不思議さ、2亀とのご縁の不思議さなど、いろいろなことを思い巡らしているうち胸が
じーんと熱くなってきました。
お隣のおばさんには、2匹のカメはどちらもすくすくと元気に育ち、立派に活躍してくれ、私達を
楽しませてくれていることを元飼い主さんに伝言してくださるよう、お願いしてお別れしました。

生き物をわざと置き去りにした飼い主さんの心無さには呆れました。
しかしよく考えれば、置いて行ってくれたからこそ私とかめみ&くもすけは出会えたのですし
カメを飼うことやカメの可愛さなど、これまで知らなかった楽しみ、多くのくの方々や楽しい
出来事とも出会えたのです。2亀と出会うことがなければ、おそらく私はカメどころか、
どんなペットも飼うことはなかったのではないか思うと、「かけがえのない2匹のカメを
プレゼントしてくれてありがとう!新しい世界に目を向けるきっかけを作ってくれてありがとう!」
と感謝の気持ちでいっぱいになります。
かめみ&くもすけに出会えていなければ、何より今、「かめかめ飼育日記」も、みなさまとの
ご縁もなかったのですものね。


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